アントレプレナーシップ分野

Strategic Entrepreneurship

大学の自然科学系教育では、専門分野を深掘りしてオリジナリティを追求することが求められます。その一方で、グローバルな競争力を取り戻すため、イノベーション(経済的・社会的価値の創造)の実現が強く求められているわが国においては、自然科学系の専門知識に加えて、優れた研究成果をイノベーションにつなげることができる、社会科学系の知識を兼ね備えた人材が求められています。
そこで当研究科では、バイオプロダクション、先端膜工学、先端IT、先端医療学等の専門知識にプラスして、イノベーションの実現に必要不可欠な、アントレプレナーシップ、事業戦略、財務戦略、知財戦略等の知識も兼ね備えた人材の養成を目指します。

研究の強み・実績

グローバル市場においてイノベーションを実現しているベンチャー企業では、自然科学系の学位(工学博士、理学博士、医学博士等)と、社会科学系の学位(MBA等)を併せ持つ人材が活躍しています。

競争環境が厳しいグローバル経済において、科学技術とアントレプレナーシップの双方を理解している人材の必要性はますます高くなっています。

アントレプレナーシップ分野のプログラムは、自然科学系の学生がどのようなビジネス知識とスキルを習得し、経験を積むべきか検討を重ねて作成されています。自然科学と社会科学を線引きすることが多い日本の大学では、極めてユニークな文理融合教育を提供していると自負しています。

授業科目の概要

【博士課程前期課程】

前期課程におけるアントレプレナーシップ講座の講義科目は、「アントレプレナーシップ(Entrepreneurship)」「事業戦略(Strategy)」「財務戦略(Finance)」「知財戦略(IP rights)」「プロジェクト演習(Project Based Learning: PBL)」の五分野で構成されています。

一般的なビジネススクール(経営大学院)と異なり、自然科学系学生が、イノベーション(社会的・経済的価値の創造)の実現に必要な知識を、効率的に学べるよう設計されています。

アントレプレナーシップ科目

アントレプレナーは、特定の社会課題を解決したいなど、事業を始めるための理念と、課題解決のためのイノベーションのアイデアを持っています。
イノベーションに関する理論と知識を学ぶとともに、「イノベーション・アイディア」を具体的なビジネスプランに仕上げるプロセスを、座学、ケーススタディ、グループワーク、企業家との議論などを通して、実践に近い形で学習します。

[科目名]

  • ・イノベーションとアントレプレナーシップ
  • ・アントレプレナーとオープンイノベーション

事業戦略科目

アントレプレナーには、アントレプレナーシップに加えて、事業化に伴うリスクを最小化し、生み出す価値を最大化するための戦略的思考が求められます。
イノベーションの実現に必要な戦略理論は、競争戦略、リソース・ベースト・ビュー、イノベーション戦略、マーケティング・マネジメントなど多岐に渡り、進化を続けています。
これら理論の概要を、座学、ケーススタディ、グループワークなどを通じて学びます。

[科目名]

  • ・ベンチャー企業の事業戦略
  • ・ベンチャー企業のイノベーション戦略

財務戦略科目

企業財務の基礎、財務計画の立案方法、企業価値評価やディール・ストラクチャー設計などの知識を学習し、さらに具体的な事例や演習を通して理解を深めることで、事業創造における財務面での実践力を習得します。

[科目名]

  • ・コーポレートファイナンス
  • ・アントレプレナーファイナンス

知財戦略科目

科学技術上のブレークスルー(発見、発明)をきっかけとして、イノベーションの実現を目指すアントレプレナー(科学技術アントレプレナー)にとって、知財戦略の理解は必須です。

特許法や著作権法を始めとする知的財産法制度の全体像を学んだ上で、さらに実践的な特許出願手続、職務発明制度への対応、ライセンス契約、侵害訴訟等に関する研究を通じて、先端科学技術分野におけるイノベーションの実現に必要不可欠な、知財の戦略的な取得・活用・保護の方法を習得します。

[科目名]

  • ・アントレプレナーシップと法
  • ・知的財産法実務

プロジェクト演習(Project Based Learning: PBL)科目

前期課程1年次でグループワークを実施します。本研究科発のバイオベンチャーなど、実在する科学技術系ベンチャー企業を一社取り上げ、同社の技術戦略、知財戦略、事業戦略、財務戦略を詳細に調査・分析します。また、その企業に新規事業として提案できるようなビジネスプランを、座学、グループワークを通して作成し、最後にグループ対抗形式のビジネスプラン発表会を行います。

2年次では、各学生が所属研究室で取り組んでいる自然科学系のテーマを使って、どのような新規事業につながるかを分析し、イノベーション・アイデアにまとめます。その過程で、複数の教員が、自然科学、技術戦略、知財戦略、事業戦略、財務戦略等の観点から共同で教育指導を行います。

[科目名]

  • ・科学技術アントレプレナーシップ・プロジェクト研究

【博士課程後期課程】

後期課程では、先端科学技術分野(バイオプロダクション、先端膜工学、先端IT、先端医療学及びこれらにまたがる融合分野)における科学技術上のブレークスルーを実現するとともに、具体的なイノベーション・ストラテジーの構築につなげることができる、科学技術アントレプレナーの養成・輩出を目指しています。

ここで言う科学技術アントレプレナーとは次のような人材を指します。

  • ①ベンチャー企業を設立して社会に大きなインパクトを与えながら活躍できる独立企業家(アントレプレナー)
  • ②先端科学技術を活用して既存の企業等において新規事業を起こす企業内企業家(イントレプレナー)
  • ③文理融合・分野融合の視点から科学技術イノベーションに関する研究教育を実践できる研究者・教育者

本研究科の後期課程では、科学技術アントレプレナーに必要な三つの能力(先端研究開発能力、機会認識能力、戦略構築能力)を養成するための教育カリキュラムを通して、企業家(アントレプレナー、イントレプレナー)、研究者・教育者など各学生の目指す方向性に沿った教育を、文理融合・分野融合の体制下で行います。

先端研究開発科目(先端研究開発能力の養成)

重要な科学技術上の問題を学生自ら発掘して課題設定する能力、その解決のための科学技術上のブレークスルー(発見、発明)を達成する能力、研究成果について学術論文投稿や学会発表を行う能力を養成します。

[科目名]

  • ・先端科学技術特定研究

科学技術イノベーション科目(機会認識能力の養成)

先端科学技術に基づくブレークスルーを活かし、経済的・社会的価値を生む製品やサービスにつなげるアイデアをまとめる能力を養成します。さらに、システム思考やデザイン思考を活用しながら、製品やサービスにつなげるイノベーション・アイデアをまとめる能力を養成します。

[科目名]

  • ・科学技術イノベーション研究1
  • ・科学技術イノベーション研究2

科学技術アントレプレナーシップ科目(戦略構築能力の養成)

イノベーション・アイデアを製品・サービスにつなげるために必要とされる知財戦略、事業戦略、財務戦略について、各学生の実務経営レベルに合わせた教育を行います。このプロセスを通じて、イノベーション・ストラテジーの構築に関する実践的な能力の養成を行います。

さらに、文理融合・分野融合の共同指導体制の下で、経済的・社会的価値の創造につながるイノベーション・アイデアについて検討を深め、科学技術上のブレークスルーを、革新的な製品やサービスにつなげられるような研究開発プロジェクトを推進します。学生は研究成果をイノベーション・ストラテジー研究成果書として取りまとめます。

[科目名]

  • ・科学技術アントレプレナーシップ演習
  • ・科学技術イノベーション戦略プロジェクト研究