産業技術実習

Curriculum

産業技術実習

産業技術実習について

科学技術イノベーション研究科では、必修科目として「産業技術実習」が1年次後期に開講されます。この科目は、研究成果の産業化に欠かせない生産プロセスの現場に準ずる設備や装置を用いて実践的な教育を行い、本研究科の誇る先端科学技術のエッセンスを実習により体得することを目指しています。
また、自分の所属分野の実習だけでなく、他分野の実習も体験することで、学生が視野を広げ、学際的な視点を身につけることも目標としています。どの実習においても、他分野の学生でも内容を十分理解できるよう、はじめに基礎的な部分から解説を行った後、教員の指導の下、本格的な実習を実施しています。

バイオプロダクション分野

バイオプロダクション分野では、統合研究拠点において、動物細胞(CHO細胞)の培養、サンプリング、細胞数測定及び顕微鏡観察、SDS-PAGEによる生産量の定量等、バイオ医薬品の製造プロセスに関する実習を行います。
学生たちは、はじめにバイオ医薬品について基礎的な知識を講義形式で学び、その後、教員が普段から使用している実験施設において、実際の製造プロセスの一部を体験します。他分野に所属する学生からは、「実際に機器を利用して、普段の研究とは全く違う分野の実験ができたのは貴重な経験だった」との声が聞かれます。
また次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB)のGMP施設の見学を行い、バイオ医薬品の製造プロセスについてさらに理解を深めます。

バイオプロダクション分野 バイオプロダクション分野 バイオプロダクション分野

先端膜工学分野

先端膜工学分野では、非溶媒誘起相分離(NIPS: Nonsolvent Induced Phase Separation)法による中空糸膜または平膜の製膜および測定の実習を行います。
はじめに分離膜の種類、材料、構造などについて講義を行い、身の回りのものと膜との関わりについて、周辺知識の理解を深めます。その後の実習実験においては、ラボスケールの小規模装置ではなく、実機スケールの商用製膜装置を用いて、膜の作製から性能評価までを体験します。大規模・大量に安定した品質の製品を作るうえでの難しさや注意点について、実践的に学びます。
実務家教員は事業立ち上げにかかるコストや企業の製造スケールの大きさについても説明します。実習生からは「研究の産業化について具体的なイメージをもつことができた」「研究に対するモチベーションが上がった」との声が聞かれます。

先端膜工学分野 先端膜工学分野 先端膜工学分野

先端IT分野

先端IT分野では、自然科学総合研究棟3号館において、IoT(Internet of Things)を題材とした、ビジネスプランの立案とIoTデバイスのデモ機の開発を実習として実施しています。
ビジネスプランの立案においては、5名1組のグループに分かれ、各メンバがCEO(最高経営責任者)、CTO(最高技術責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)、CFO(最高財務責任者)、COO(最高執行責任者)を担当し、起業に向けて、それぞれの役割の立場から協力しながらビジネスプランを作成します。また、CTOが中心となって温湿度・ライトセンサをはじめとする多種のセンサやトイドローンを利用して、ビジネスプランの実現可能性を示すためのデモ機の開発を行います。
既に多種多様な製品・サービスが存在している中、どのようにして独自のビジネスを展開するのか、またどのようにしてビジネスとして成立させるのか、といった問題に苦戦しますが、解決策を考える上で、「アントレプレナーシップ関連の科目で学んだ、事業戦略やファイナンスに関する知識が役に立った」との声が多く聞かれます。
実習の後半には中間発表を行い、事業内容の新規性や実現可能性について、グループ間で互いに積極的に意見交換を行います。意見交換後、ビジネスプランの企画書(日本語または英語)の完成度をさらに高めていきます。

先端IT分野 先端IT分野 先端IT分野

先端医療学分野

先端医療学分野では、自然科学総合研究棟1号館にて、産業技術の医療応用の一例として先端の医療技術について調査し、発表するグループワークを行います。
実習では1年次前期の先端医療学概論で学習した基礎的な医療に関する知識を活用しながら、先端医療技術が患者さん、医療業界または国内・国際社会にどのように貢献していくのかを理解することを目的として、学習を深めます。
また、近年注目される「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の達成のために先端医療技術が果たす役割についても調査・考察し、将来の医療産業の在り方についても知見を深めます。
先端の医療産業においてはIT技術やバイオ技術を用いた治療薬や診断法の開発事例も多く、他分野に所属する学生も積極的に参加し理解しやすい実習内容としています。

先端医療学分野 先端医療学分野 先端医療学分野