修了生からのメッセージ

Messages from Alumni

柴田 望さん

柴田 望さん

SHIBATA Nozomu
現職
花王株式会社 生物科学研究所 主任研究員
修了課程・年月
博士課程後期課程・2022年3月修了
分野・研究室
バイオプロダクション分野・バイオ生産工学研究室
指導教員
蓮沼誠久 教授

私は企業の研究員として植物バイオマスを糖に分解する糖化酵素の開発を実施していました。脱炭素社会に向けて、バイオマスからのモノづくりが注目を浴びる中、その根幹に関わる糖化酵素の開発に携わっていることにやりがいを感じていましたが、製品やサービスとして社会に提供していく点で壁にぶつかることが多く、研究成果の社会実装の難しさを強く感じていました。
その中で、理系分野において先進的な研究が多くなされているだけでなく、研究成果を社会実装に繋げるためのアントレプレナーシップの教育に力を入れている本研究科を知り、自身の研究力を高めるだけでなく、実装に繋げる手法についても学べることに魅力を感じ、本研究科を志望しました。

在学時は、糖化酵素の社会実装に向けた安価生産技術に関する理系研究を行うのと並行し、事業、技術、知財、財務戦略の立案に関わる理論や考え方を一から学び、各分野の専門家である先生方と何度も議論を重ね、研究成果を具現化していくための事業計画書の作成を行いました。

現在は、企業の研究員として引き続き糖化酵素の研究に携わっており、事業化に向けたプロジェクトに関わりながら、新規事業創出に向けて日々奮闘しています。事業化には、客観的根拠に基づいた説得力のある戦略立案が不可欠ですが、本研究科で学んだ様々な視点からの戦略立案の知識、方法論がこの事業案の策定に活用できていると感じています。今後は、自身の研究の事業化を目指すだけでなく、本研究科で学んだ知識を生かし、新規事業創出や新価値提案に携わり続けていければと考えています。

本研究科の特徴は、社会人が多く在籍し、またバイオ、膜工学、IT、医療と様々な分野の方が集まっている点だと思います。先生方や同期とお話するだけで、自分の知らない世界、業界の話を多く聞くことができ、とても刺激的な毎日でした。ぜひ皆さんもこの刺激的な研究科で、新しい仲間と出会い、自身の価値観を広げ、研究成果を社会に還元するための様々な知識を学んで頂ければと思います。