修了生からのメッセージ

Messages from Alumni

李 昂さん

LI Ang
現職
AGC株式会社 技術本部 先端基盤研究所
修了課程・年月
博士課程後期課程・2024年3月修了
分野・研究室
バイオプロダクション分野・バイオ生産工学研究室
指導教員
西田敬二 教授

私は2019年に来日し、科学技術イノベーション研究科で博士課程前期課程から後期課程までの5年間、ゲノム編集分野において研究を行い、その後、AGC株式会社に入社しました。

科学技術イノベーション研究科に入学を希望した理由は、西田敬二教授のゲノム編集に関する卓越した研究に強く魅了されたからです。5年の研究期間中、私はゲノム編集技術の精度向上に取り組み、特にその低い安全性の課題に注力しました。研究目標としては、より安全で高精度なゲノム編集技術を提供することでした。また、本研究科の強みであるアントレプレナーシップを学び、新規技術の開発のみならず、それを基盤とした事業戦略の立案にも成功しました。

現在、AGCにおいてバイオCDMOに関連する研究開発に注力しています。抗体治療から遺伝子治療、細胞治療に至るまで、新規医療技術の進展は驚異的な速さで進行しています。この急速な発展を受けて、私たちは革新的な治療法を一刻も早く多くの患者さんに届けるため、製薬企業と連携し、新薬の製造と開発に関する研究に全力で取り組んでいます。

科学技術イノベーション研究科では、他の研究科では得られないアントレプレナーに必要な素質を学ぶことができます。その中でも、特に私の現在の仕事に深く影響を与えているのは、2つの要素です。それは、新事業に対する鋭敏な嗅覚と、特許分析に対する高い正確性です。企業で研究開発を行う際には、単に優れたものを作るだけでなく、それをどのように新しいビジネスに結びつけるかを常に考慮しながら研究を進めることが重要です。このため、企業の研究者は業界の動向を誰よりも早く察知する鋭敏な嗅覚と、新規参入の可能性を正確に評価する特許分析能力が求められます。今後も、私は本研究科で5年間培った知識と鍛えた能力を活かし、社会に貢献できる次世代医療の開発に注力したいと考えています。

受験生の皆さん、自分のモチベーションを大切にし、自分の手でどのような未来を実現したいのかをじっくり考えてください。