修了生からのメッセージ

Messages from Alumni

川端 優希さん

KAWABATA Yuki
現職
大阪ガス株式会社 ガス製造・発電・エンジニアリング事業部
修了課程・年月
博士課程前期課程・2021年3月修了
分野・研究室
先端膜工学分野・膜分離プロセス研究室
指導教員
吉岡朋久 教授

学部生の頃、世界の抱える水問題に強い問題意識を持ちました。日本のように安全な水が手に入る国は珍しく、安全な水を求めて何時間もかけて歩く子供たちが世界に多くいることを知ったからです。世界の水問題を解決できる研究がしたい。その想いから、海水を淡水に変えることができる分離膜に興味を持ちました。科学技術イノベーション研究科を目指したのは、そんな分離膜の研究に力を入れている膜工学研究室があり、国際的に研究活動を行っていた為です。

在学中は、分子動力学シミュレーションを用いて、海水淡水化の分離膜であるポリアミド膜の目詰まり(ファウリング)現象の解明に取り組んでいました。ミクロな視点から現象の真理を追究する日々は、大変でもあり、非常にやりがいのある日々でした。科学技術イノベーション研究科の研究は、真理を追究するだけでは終わりません。"自分の研究がどう社会に役立つのか"まで、2年間かけてじっくり学びます。実際の科学技術を基にビジネスモデルを構築する授業では、ITやバイオ、医療分野などの異なるバックグラウンドを持つ学生と交流することができ、専門とは異なる視点を持つことができました。

現在は、人々の生活の根幹を支えるインフラ企業で、脱炭素社会の実現に向けて、カーボンニュートラルなエネルギー技術の開発に取り組んでいます。科学技術イノベーション研究科で得た、企業を取り巻く市場分析の考え方や会計の知識は、事業性評価やコスト試算などで現在の業務にも役立っています。
科学技術イノベーション研究科には、学びたいという熱い想いを受け入れてくださる先生方がたくさんおられます。在学中は、研究科の海外派遣制度を利用して、シドニー工科大学と共同研究を実施したり、国際共著論文を執筆したり、全身全霊をかけて、研究活動に没頭することができました。受験をお考えの皆様が少しでもなりたい自分に近づける教育の場であることを願います。

シドニーにて、シドニー工科大学の学生、吉岡教授(右から二人目)と筆者(右端)